南海トラフ地震の影響はペットにも!避難対策&防災グッズ
南海トラフ地震のような大規模な震災が起こった時に被害を受けるのは、「人間」や「建物」だけではありません。
過去に起きた地震でも、大きな被害を受けたのは「ペット」も同じです。
飼い主も自分達のことで精一杯で、非常時は中々ペットまで見切れないということもあって、震災のたびに多くの犠牲が出ています。
ここでは、南海トラフ地震のような大規模な地震が起きた際の「ペットへの影響」と「避難対策&防災グッズ」について詳しく解説していきます。
震災ペットの現状
現在、日本では犬や猫を中心に約1800万頭のペットが飼育されています。
例えば、ペットが「東日本大震災」や「熊本大地震」のような大規模な地震が起きた際に、飼い主と一緒に避難できるかと言われれば、やはり難しいというのが現状です。
大地震が起きた際は、人が避難場所まで避難するのが精一杯で、ペット達は野に放たれるケースが多いです。
また、避難生活が続いている間はそのままになり、落ち着いた時に捕獲して飼い主の元へ戻すという活動も行われていますが、これが中々大変なのです。
まず、大きな地震で野に放たれたペットは恐怖心が強いため、人に対しても警戒心が強くなり捕獲自体が難しくなります。
捕獲できたペットでも、届け出が出ている飼い主の元へ戻していくことになるのですが、この手続きにも時間が掛かります。
実際に、「東日本大震災」や「熊本大地震」の時に飼い主の元に戻せたペットは、全体の1割ほどで9割のペットについては、以下のような理由で戻すことが出来なかったのです。
- 避難先では動物が飼えないので引取れない
- 飼い主が地震で亡くなった・重傷を負ったことで引き取れない
- 家族がバラバラに避難しているので飼うことが出来ない
こうして捕獲されたペットは、まだ幸運な方です。
飼い主の元に戻れる可能性もありますし、ペットを希望する人に譲渡されることもあるからです。
しかし、多くのペットは野生化してしまい、止むを得ず殺処分されてしまいます。
そのため重要なのは、地震が起きてから「ペット」をどうするか考えるのではなく、「ペット」と一緒にどう避難するか事前に対策を考えシュミレーションしておくことが大切なのです。
こうした事前準備が、ペットの命を救うことにも繋がることを普段から意識しておきましょう!
ペットの避難対策
大きな災害は、前触れなく突然起こります。
そういった時に迷わず行動できるように、ペットの避難対策について考えておく必要があります。
ペットと避難することについては、環境省よりガイドラインが出されており、災害時のペットと避難について記されています。
【ペットの災害時対策ガイドライン】
- 2013年「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」
- 2016年「人とペットの災害対策ガイドライン」
この中で、重要となるのが「同行避難」と「同伴避難」という言葉です。
この2つは、似た言葉でありながら意味合いが大きく異なります。
同行避難 | 「飼い主がペットとともに指定された避難場所に避難すること」を指しており、飼い主とペットが避難場所に行くことを指しています。 |
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同伴避難 | 「避難場所で飼い主とペットがともに避難生活をすること」を指しています。 |
なぜ、違いが出てくるとかというと、全ての避難場所で「飼い主」と「ペット」が、一緒に生活できるかどうか分からないからです。
これには様々な理由がありますが、現実的に避難場所に「動物を入れて欲しくない!」「動物が入れられると迷惑だ!」と感じる人がいるからです。
ほかにも、以下のような苦情が多くあり避難場所でトラブルに発展するケースもあります。
- 「ニオイが気になる!」
- 「啼き声がうるさい!」
- 「動物アレルギーがある」
- 「人間の食べ物も十分ではないのに、なぜ動物に食べ物を回すのか?」
- 「税金で他人が飼っているペットを養うのはオカシイ!」
そのため、人間が生活しているスペースには動物は入れず、人は室内に案内されるもののペットは外で生活ということになり、室内で一緒には過ごせないというケースが多いのです。
その場合、学校のグラウンドや駐車場などに「檻」や「ケージ」のような物が設置されて、そこがペットのスペースとなります。
しかし、こういった設備は急ごしらえのものが多く、簡単な「日よけ」や「雨よけ」のシートが被せてあるだけの場合がほとんどです。
そのため、真夏であれば熱中症や、真冬であれば極度の寒さがペットを襲うことになり健康状態の悪化を招きます。
こうした状況を良しとしない飼い主の中には、避難場所で生活せずに車中泊を続けたり、自宅避難に戻るという人も多くいます。
そうした人たちの中には、長い車生活でエコノミー症候群になったり、自宅に戻ったことで二次災害に遭うということも問題視されています。
マイクロチップによる対策
避難する際にペットとはぐれてしまい、ペットを探している間に逃げ遅れて、災害に巻き込まれるというケースも発生しています。
対策としては、飼い主の名前や連絡先などを書いた札を首輪に付けておくといったことで、ペットとはぐれたとしても後から再会できる可能性が高くなります。
ほかにも、掲示板などに貼りだせるように飼っているペットの写真を用意しておくというのも良いでしょう。
また、普段から震災に備えて避難訓練しておくことも大切です!確実なのは、ペットに埋め込むマイクロチップの装着です。
ペットに埋め込むマイクロチップには、飼い主さんのデータが登録されています。
「長さ8mm~12mm」「直径2mm」程度の円筒形で、アンテナとICを内蔵している「電子タグ」です。
災害などで飼い主さんと離れ離れになったペットが保護された際に、自治体や動物病院が専用リーダーでマイクロチップの情報を読み取り、飼い主さんと連絡をとることができます。
マイクロチップの耐久年数は約30年程度で、作動に電池は必要ありません。
各自治体の活動による対策
ペットの避難場所がないという問題を解決していくために、行動している自治体もあります。
災害時のペット相談窓口が開設されたり、エアコン完備の部屋でペットと飼い主が一緒に避難生活できる場所を確保するという試みが行われています。
もちろん、地域で行われる防災訓練にペットも連れて参加するのもオススメです。
「いざ!」という時の行動をシュミレーションできるだけでなく、ペットを飼っている人たちと顔見知りになることで、震災時のペット情報の共有が出来ることもあるからです。
ペットの防災グッズ
ペットの安全を守るためには、普段からペットと避難訓練をしておくことと、ペット用の防災グッズを備えておくことが重要になります。
また、「不必要に吠え続ける」「ケージに入らない」というペットは、避難場所で一緒に生活することは難しいでしょう。
避難する際には大人しくさせる、ケージなどにも素直に入るようにしておくといった躾(しつけ)が必要となります。
ペットの予防接種や去勢・避妊について
また、避難所には様々な動物や人々が集まってきます。
「感染症予防」や「狂犬病ワクチン」など、ペットが受けるべき予防接種は必ず受けさせておきましょう。
こういった予防接種を受けさせていなくて、それが原因でトラブルが起きた場合は、非常に大きな問題に発展することがあります。
猫などの場合は、野生化すると急激に繁殖するということもありますので、「去勢」や「避妊」といった処置もしておくことをオススメします。
ペットの備蓄品について
基本的には、人間と同様に備蓄品を揃えると良いでしょう。
とくに、災害直後はペット用の食料などが配給されることはありません。
そのため、ペット用の「食料」と「水」は必需品となります。
最低でも数日分は備えておきましょう。
また、それらを使用するための「食器類」「薬」なども必要になります。
ほかにも『首輪・リード・ケージ』なども必要ですし、何より重要になるのがトイレ用品です。
ペットの汚物は、真っ先にトラブルの原因となります。
そのため、ペット用のトイレシーツはある程度の量が必要でしょう。
箱買いして備えておけば、状況によっては人間が使用することも可能です。
ペットの排泄物について
ペットの排泄物に関して「防臭袋」も必須と言えるでしょう。
不快な臭いは、イライラしている人を更にイラつかせるだけでなく、衛生環境からも良くはありません。
ゴミの収集が正常に戻るまで、ペットの汚物処理は確実にしておかなければいけないのです。
ペットの排泄物は、このような防臭袋に入れておくのが確実です。
余裕があるようであれば、この他にも『新聞紙・タオル・ガムテープ』など、一緒に非常袋に入れておけば何かと役に立ちます。
このような備えを十分にしておいても、「避難場所で一緒に生活できない...」「ペットの健康面が不安...」といった場合は、在宅避難を考えても良いかもしれません。
その場合、必ずそれぞれの自治体、警察や自衛隊などの指示に従って行動するようにしましょう。
状況によっては、安全性の問題で認められないこともあるからです。
最後に
震災直後は、どうしても人間への「支援」や「救援」が優先されることから、ペットのことは後回しにされるという現状があります。
そのため、飼い主が普段から躾(しつけ)や予防接種にペット用品の備蓄をしておく必要があります。
震災直後は、人々の精神状態や健康状態も悪く、ペットを巡ってトラブルが起こることも多くあります。
ペットの健康や安全を守るためにも、他の人とトラブルを起こさないためにも普段からしっかりとした準備を行い、大規模な震災に備えることが何よりも重要だと言えるでしょう。